岐阜地方裁判所 平成5年(わ)184号 判決
本店所在地
岐阜県益田郡金山町東沓部字野首三四九八番地の一九
株式会社千田工業
(右代表者代表取締役 千田正朗)
本籍
岐阜県益田郡金山町岩瀬三〇七九番地の一
住居
岐阜県益田郡金山町下原町二五五番地
会社役員
千田正朗
昭和一四年一〇月一一日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官奥村淳一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社千田工業を罰金三〇〇〇万円に、被告人千田正朗を懲役一年四月にそれぞれ処する。
被告人千田正朗に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社千田工業は、岐阜県益田郡金山町東沓部宇野首三四九八番地の一九に本店を置き、建築用内装造作材の製造・販売等を目的とする資本金四〇〇〇万円の株式会社であり、被告人千田正朗は、同社の代表取締役としてその業務全般を統括している者であるが、被告人千田正朗は、同社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の原材料仕入を計上するなどし、これにより得た資金で不動産、株式を購入するなどの方法により、所得を秘匿したうえ、
第一 平成元年三月一日から平成二年二月二八日までの事業年度における同社の実際の所得金額が一億七六〇五万九三六〇円であり、これに対する法人税額が七一八三万六五〇〇円であるのに、平成二年五月一日、岐阜県高山市名田町三丁目八二番地所在の所轄高山税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七四九五万二二八二円であり、これに対する法人税額が二九五七万六九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額四二二五万九六〇〇円を免れた
第二 平成二年三月一日から平成三年二月二八日までの事業年度における同社の実際の所得金額が一億八一八七万八八〇二円であり、これに対する法人税額が七〇六七万一九〇〇円であるのに、平成三年四月三〇日、前記高山税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七一八八万一八二一円であり、これに対する法人税額が二六六七万四〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額四三九九万七九〇〇円を免れた
第三 平成三年三月一日から平成四年二月二九日までの事業年度における同社の実際の所得金額が一億八〇〇〇万九一三三円であり、これに対する法人税額が六五三二万五九〇〇円であるのに、平成四年四月三〇日、前記高山税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八六三八万〇六五六円であり、これに対する法人税額が三〇二一万五〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額三五一一万〇九〇〇円を免れた
ものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人株式会社千田工業代表者兼被告人千田正朗の当公判廷における供述
一 被告人千田正朗の検察官に対する供述調書
一 被告人千田正朗の大蔵事務官に対する質問てん末書九通
一 水野恒男、高木雅彦(二通)、岩塚幸男、兼島敏緒、加藤信惠、千田眞由美、千田栄蔵、千田広門、佐藤吉之、荒川治之の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 検察官作成の捜査報告書
一 大蔵事務官作成の査察官調査書一一通
判示第一、第二の各事実について
一 田中修の検察官に対する供述調書
一 森山一彦の大蔵事務官に対する質問てん末書二通
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(記録証第一五五号)
判示第二、第三の各事実について
一 伊藤信行の検察官に対する供述調書
一 山田忠夫の大蔵事務官に対する質問てん末書二通
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(記録証第一五六号)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(記録証第一五七号)
(法令の適用)
被告人らの判示各所為は、各事業年度毎に法人税法一五九条一項(被告人株式会社千田工業については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人株式会社千田工業については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人千田正朗については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人株式会社千田工業については、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金三〇〇〇万円に処し、被告人千田正朗については、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年四月に処し、被告人千田正朗に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 岡部信也)